OKAYAMA Swing Street
語れば熱き音楽人
「LIVE at BIRD その3」
2001.06.11 岡崎 直樹
  一ヶ月ほど前、演奏の仕事で徳島に出かけた。
 高松から開通したばかりという高速に乗ったが、徳島まではまだ繋がってはいない。 吉野川はずいぶん幅があるななどと思いながら、駅前のホテルに着いたのは夜8時前。 チェックインもそそくさと、各地から入ってきた仲間たちと、人気の阿波地鶏とビールを堪能する。 何が違うのかはよく解らなかったが、とにかく安くてうまかった。 少し落ち着いたところで、いつも通り「どこかの店で遊ぼう。」ということになる (注:徳島には「ええ店」がたくさんあるらしいが、そういうことではなく、 ライブハウスに押しかけて、演奏に参加させてもらおうという意味。念のため・・・・)。 で、みんなそろって元気よく繰り出すことになった。花見の頃、高知で泊まった時にもちょっとだけ出かけたが、 夜中になってもみんな楽しそうに騒いでいたし、ここ徳島も人がたくさんいてそれだけでもうれしくなる、 なるほど「ええ店」も幾らでもあるある・・・。

 飲食街の、とあるビルの階段を上りながら、はて?と思い、 2階にあるその店の入り口に立った瞬間、ああ!と、はっきりと思い出した。 徳島はジャズの盛んな街で、「ジャズ・ストリート」を、もうけっこう長く続けておられる。 「ジャズ・ストリート」毎年2回あり、 冬はホテルを会場にたくさんのミュージシャンを一度に楽しめる合同コンサート形式、 夏には、共通のチケットを購入すると市内のライブハウスをフリーパスでき、 多数のミュージシャンたちも楽器をかついで店を移動する。 そんな楽しい催しに4年くらい前の夏、私たちジャズマシーンもゲストとして呼んでいただいた。 そのとき出演したお店の一つだった。その夜はひときわ暑かったが、 たくさんの聴衆から熱い拍手をいただいて大変うれしかったので、全身汗まみれになって演奏した。

 ほの暗い照明の店の中は、壁、カウンター、テーブル、イスなどすべて木造りで、 ログハウスの中にいるような落ち着いた気分になり、盛り場のど真ん中にいることを忘れさせてくれる。 改めて感心してしまった。前回は満席で、私も緊張していて気がつかなかったのだ。 だが、ヒノキ特有のいい香りがして、それはその時も同じだったと、なつかしく思い出した。
 自己紹介もそこそこに、地元のビッグバンドのメンバーの方たちの演奏に私たちも何曲か参加させていただいた。 次々と登場するアマチュアの方々は熱心で、ピアニストでもあるマスターの演奏も素晴らしいものだった。 週末でもあり、たくさんの人が遅くまで楽しんでいた。
 10日程前、その日知りあった方からメールが届き、その店が6月いっぱいで閉店するとのこと。 良い店だと思うし、料金設定も高くないし、けっこうお客さんも多かったので意外だった。 何とも言えない気持ちになった。移転して再開の可能性もあるらしいので、 良い知らせが届いたら店名など、このコーナーで紹介しようと思う。 同業者としても、ぜひもう一度頑張っていただきたい。
 バードは、あと半年ほどで20周年を迎えることになった。そんなに長く続けたような気はしないのだが、 1981年からなのでそういうことになる。相変わらずの超低空飛行ながら、何とかやって来れたのは、 ひとえに皆さまの暖かい励ましのおかけだと感謝している。このまま継続していくことが、 なによりの恩返しだと思っている。最近になって、今までのマスコミ主導型のブームとは別のところで ジャズに興味を抱く若者が少し増えてきたこと、強い情熱と研究心を持っている演奏者が多いことなど、 心強く感じることが多い。私も演奏者として負けては居れないのである。 岡山のジャズ界はこれから本当に面白くなるのかもしれない。
 
岡崎 直樹 2001.6.11


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