OKAYAMA Swing Street
語れば熱き音楽人
「ヤマハFG450との出会い」
2001.02.20 福武 三二
 この世に生を受けて半世紀、その長いような短いような年月の間には節目節目で様々な出会いがあり、今の自分が存在している不思議を感じることがしばしばあります。今回はそのひとつ、私自身にとっては結構刺激的だった出会いに触れてみます。ヤマハFG450、私がこのギターに出会ったのはいまから30年ほど前の事、ちょうど20 才を迎えた頃だったと思う。

 ギターを弾き始めたのは15〜16才頃からで、当然の事のようにチープなエレキギターを手にしていた。音の良し悪しがわかるわけでもなく、うわべのカッコ良さに酔いしれてコードが2〜3個弾けただけでも「もうプロになる!」などと考えていたような気がする。  高校卒業後上京、色んな意味で刺激の多い東京、ギターを抱えたミュージシャン達にも出会う…NHKで仕事をするようになった頃から音楽に触れる機会にも恵まれ、それまで燻っていたギターへの思いがまた少しずつ熱を持ち始めた。

ギター  渋谷の道玄坂にあるヤマハ楽器に、友人とアコースティックギターを買いに出かけた時のこと。手に取ってすぐに試奏できるギターを何本か弾いてみて、その中から当時18,000円のヤマハを探し当てて買う意志を固めていたその時、ふと目に飛び込んできたのが、ショーウインドウの中でひときわ輝いてこっちを見つめている彼、その彼こそがヤマハFG450だった。

 450という数字は価格表示であり、つまりそのギターは45,000円ということになる。ずいぶん昔の話で当時私の給料はと言えば30,000円、とても買えるような値段ではない。「45,000円、高い!」心の中で何度も叫びながらも、そのスタイル、その色合い、一目惚れとでも言おうか、思わず店の人に「これ、ちょっと弾かしてください!」と声を掛けてしまったのが大まちがい(今思えば大正解だったのだが…)。

 何とすばらしい音なんだ!何と弾きやすいギターなんだ!今このギターを買わなければ!悪魔が耳もとでささやいた。所持金は前日もらったばかりの給料30,000円、揺れ動く気持ちにピリオドを打ったのはとなりでその様子を見守っていた友人の一言だった。「20,000円位なら貸してやる」その声を聞いた時にはもうすでにレジへ向かっていた。

 こうして手に入れた、ヤマハFG450。25年間は弾いただろうか?今ではフレットにミゾができ、弦がビビる、ボディもキズだらけ…
51才になり、当時よりは多少余裕(?)もでき、ギターの腕も多少は上達し、ギブソン・フェンダー・ゴダン等、さまざまないい音との出会いを重ねてきたが、何と言っても彼に勝るギターには巡り合えていないような気がする。実質的な問題ではなく、「思い入れ」…自分自身を熱くさせてくれる何かがそこにはあった。

 念願のライブハウスMO:GLAをオープンしてもうすぐ2年、音楽を楽しみ、毎日をより充実したものにするために、あの頃のような感動的な出会いを重ねていきたいと思っています。
 
福武三ニ 2001.02.20


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